出張鍼灸
冬
❜❜陽気(エネルギー)は内に集まる❜❜
厳しい寒さから身を守るためと、もうひとつ
生命力を内に集めて、春夏に消耗したものを回復、修復してつぎの季節へ備える季節
秋冬になると冬眠はしないけど身体の陽気が内側に戻ってきて厳しい冬の寒さに耐えられるように体の芯を温めてくれる
❜❜暖かくして動かない、備える❜❜
冬は中医学では五臓のうち「腎」と関係性が強い季節。腎はホルモンの分泌を中心に、人間の成長や老化、元気の源に深く関与すると考えられている。冬は寒さにより「腎」の働きが弱まりやすくなるため、
しっかりと冬の冷えから体を守ることが第一優先。次の春を快適に迎えることや老化防止に繋がる。
秋からの乾燥した空気に寒さが加わり、呼吸器系のトラブルがピークに達します。また、一年中で最も気温が低く、からだが冷えて新陳代謝が低下し、血液の循環が悪くなるので心臓などの循環器や脳にトラブルが発生しやすくなります。さらに、末梢の血行不良を招き、腰、肩、ヒザなど古傷が傷んだり痛みや腫れなどを引き起こしやすい。
陰陽五行論:自然界の様々な変化や関係を5つの要素に分類して行く考え方
‐食養生‐
腎を補う
❜❜黒い食材を食べる❜❜
黒ごま、黒糖、黒豆、黒米、海藻類、黒きくらげ、ひじき、のり、牡蠣、黒酢など
「海は生命の源」というように腎を強くする食材は海に関係するものが多く、
また自然の「鹹味(塩辛い)」は腎を補うと言われています。
この「塩辛い」は自然の本来のほんのり感じる塩辛さのこと。
精製塩などでコク味付けされたようなものは食べすぎるとからだがむくみ
水分代謝も司る腎に負担がかかってしまうので注意。
他にも陰陽五行論をもとにした五行色体表にからみる「腎」を補う食材は
大豆(腎を補う穀物) 栗(腎を補う果物) 豚肉(腎を補う肉) もやし(腎を補う野菜)
大昔の人は陰陽五行論(自然界の万物を5つの要素に分類して関係性や影響を表した)をベースに、五臓の病気や体質の弱い部分をみつける五行色体表(ごぎょうしきたいひょう)を作り生活に応用していたと言われています。
五行 木 火 土 金 水
五臓 肝 心 脾 肺 腎
五穀 麦 黍 稷 稲 大豆
五果 李 杏 棗 桃 栗
五畜 鶏 羊 牛 馬 豚
五菜 韮 薤 葵 葱 藿
五色 青 赤 黄 白 黒
❜❜温性の食材で身体を温める❜❜
寒冷にさらされて体温を奪われないように、温める働きのある食材を活用して、身体が自ら温める力をサポートしてあげる。
シナモン、クローブ、生姜、人参、にんにく、にら、ねぎ、かぼちゃ、タマネギ、栗、クルミ、鶏肉、羊肉、鰻、アジ、イワシ、鮭、タラ、エビ、酒、酢、黒糖 など
❜❜冷食、生ものを控える❜❜
体を温めるか、冷やすかは、食材のもつ働きだけでなく調理方法でも変わります。たとえばサーモンや海老などは本来温性の働きをもちますが
お寿司のように生食をすると体は温まりません。
サラダなども、生で食べがちでですが、冬は生ではなく蒸し野菜にするなど、なるべく温かい温度で食べると
野菜の栄養と体を温める作用のどちらの効果を得られるのでオススメです。
養生茶
少し不調を感じたときや栄養補給に。
❜❜体を温める❜❜
どうしても寒さを感じる冬
飲み物からも体を保温してあげましょう。
プーアール茶、紅茶など色の濃いお茶、甘酒など
トッピングでシナモンや生姜、黒糖やきなこなどを加えるのも
体を温め腎を補うのでおすすめです。
体を温め、血流をよくすることを土台とした養生
漢方の古典「黄帝内経(こうていだいけい)」には、冬の3ヵ月のことを閉蔵(へいぞう)といい、とにかく冬は寒さから体の陽気を守ることが大切
❜❜早寝遅おき❜❜
夜は遅くても22時までに寝て朝は7時頃起きる
早く沈み遅く昇る太陽に合わせる。
❜❜防寒対策。体を温める❜❜
室温が低すぎると体温を保つために気血を消耗するのでしっかりと防寒をする。
ただし冬は汗を多くかくと、体表部を開きかえって陽気の発散を強めてしまうので
暖かくしすぎたり外との寒暖差が大きすぎないように。
暖かくしなくてもいいけど寒くないように保つ。
部屋の温度は少し低めに設定して、
皮膚の扉を閉じ、衣服の工夫で体から熱が逃げないようにするのがいい。
浴槽につかるのは良いですが、汗をかきすぎないよう、すこし温めのお湯や
長時間はいらない方が良い。
❜❜運動は少し減らす❜
普段運動してて免疫力高い人はそこまで意識しなくても良いが、
虚弱体質で風邪をひきやすい人は軽めのヨガ、ラジオ体操などじんわりと汗がにじむ程度の運動が良い。
週に1度しっかりと運動をして大きくエネルギーを発散するのではなく、
毎日家事などでこまめに動いて
気血の流れをスムーズにすることを心がけると良い。
❜❜
はしゃぎすぎずに、心を落ち着かせる時間を作る
❜❜
草木も枯れ落ち、本来体の回復や次の季節に向け生命力を蓄える季節。
「夏フェス」のように開放的になるよりは、ホームパーティーなど
ほっこりするようなイベントがおすすめ。
‐体養生(生活習慣)‐
二十四節気の冬
二十四節気(にじゅうしせっき)とは、春夏秋冬の季節をそれぞれ6つに分けて季節の変化を24個に分けたもの。そのなかの冬の変化をセルフケアの方法とともにご紹介します。
立冬 11月8日〜11月21日頃初めて冬の気配が感じられる日
日照時間の少なくなる冬には、積極的に朝の日光浴の習慣を取り入れて体に陽気を吸収する。冬の前半は、秋からの乾燥で体が乾きがちなので、体を潤す果物や白い食材で体を潤すこと。辛い、冷たい、ねばねばする食材などを控えて、陽気の消耗を控えることを意識して、乾燥とこれから強まる寒さに体を備える。果物は夜に食べると体を冷やしやすいので、これから活動を始める朝が良い。
冬至 12月22日〜1月5日頃
一年でもっとも昼が短く、夜が長いころ。
この時期から基礎代謝が最も低下し始める頃で体温も下がるので、体調管理は大変です。
まずはとにかく冷え防止。厚着をして熱を逃がさないようにしましょう。
小雪 11月22日〜12月6日頃
冬は「蓄える季節」
習得本能を満たす時と言われています。
知識を得るために、一生懸命勉学に励む、知恵をつけることに向いています。、太陽を背中に浴びながら本を読む、こたつに入りながら勉強をするなど、新しいチャレンジではないけど身につけたいことを習慣化するのに最適です。冬は膀胱と関係が深い時期であり、寝汗やむくみなども出やすくなります。肉より魚介系のほうが余分な水分を排泄する働きを持つので積極的に選ぶと良い。
小寒 1月6日~1月19日頃
冬至を過ぎて寒さが次第に厳しくなる頃
「寒の入り」
大雪 12月7日〜12月21日頃
寒さが深まり、重い風邪をひきやすい時期。
風邪はまず喉や鼻から入って粘膜を冒します。
この初期の段階で風邪に勝つためには、喉や鼻と関係が深い肺を強めておくことが大切です。肺は乾燥を嫌う臓なので、潤いを与える白い食べ物である梨や牡蠣、白菜、大根、れんこんなどを食べる。
また胃腸を元気に保ち粘膜そのものを良い状態にしておくことも大切です。自然の甘みを持つ黄色い野菜、人参やかぼちゃ、さつまいもなどを食べて体の状態をいつでも風邪と戦える状態にしておくと良いでしょう。
大寒 1月20日~2月3日頃
寒さが一番深まるこの時期には、
体を温めるためにエネルギーを消費してしまうので、体を温めることはもちろん、消耗するエネルギーを補給するために、栄養を蓄積する必要があります。体を温める旬の冬野菜をしっかり食べ、来る「発陳の春」に向けて体を整えましょう。